11月の投句一覧
- Junko Mezaki
- 12月3日
- 読了時間: 2分
1 小春日の猫の隣に座してをり
2 山あひは雪の予報に身構へり
3 小春日や大釜に蕎麦なだれ入れ
4 扇風機の首を傾げて秋行きぬ
5 釣人の距離を小春の鴉埋め
6 冬の墓地慟哭やまぬ老者あり
7 小春日の海老腰婆が蕎麦を刈る
8 新米に出羽の水音聴いてをり
9 大磯の小春の石は文鎮に
10 冬の蝶こころに形あるとせば
11 鬼を呼ぶ子供らの声小春かな
12 冬の虻膝にとまりて小春かな
13 燗の酒むせて鼻水咳やまず
14 立冬の走り書きせし手紙かな
15 曇天や十一月の水の音
16 耕運機嫁が習熟して小春
17 冬温き日のベンチ満席漱石忌
18 吾も行くや浮雲も行く小春かな
19 機影去り冬めく空の残りけり
20 竹垣の結び目揃ひ小春かな
21 小春日や千曲左に右浅間
22 湖の面に錦の風や山化粧う
23 小春日や粉ふける足撫でてをり
24 僧仰ぐ御空の色にある小春
25 抜け道は山茶花の散る石畳
26 息災にして小春日の尾根下る
27 高跳びの胸は小春に舞ひ上がり
28 冬立つ日大事な役に眼鏡拭く
29 小春日や行くべき下山路見えてきて
30 ランダムな遺伝子戦術帰り花
31 尼寺のさくら紅葉に写経する
32 石蕗の黄を灯して沢のなほ暗き
33 心して下山の一歩小春かな
34 夢ひとつ語るを恥じて漱石忌
35 小鳥きてさざめく庭となりにけり
36 高らかに競りの声する小春かな
37 小春日の嬉しきものに雪の富士
38 ポストまで突つ掛けで行く小春かな
39 文学館玻璃ゆがみたる小春かな
40 終着の駅の向かひの島小春
41 駅の灯の鉄路に凍る遅延かな
42 墓らしくなき墓冬草の奥に
43 小春日やベンチで歌ふ女児二人
44 肩凝りが消えたかのやう小春かな
45 冬薔薇ドラキュラ住むといふ城に
46 読書する椅子を小春に授かりぬ
47 鳶浮かぶ嬰の寝息の小春空
48 通院も少し楽しき小春かな
49 木枯や仁王に睨み返されて
50 小春日の猫来て締め切り捗らず
51 小春日の海が言はする彼のこと
52 冬浜の小石異なる影を持つ
53 レース編みさくさく進み小春かな
54 踏むほどに寂しさつのる落葉かな
55 少年に秘密の藪道小六月
56 冬に入る芥の海の底が澄み
57 はつふゆの禅寺丸柿色尽し
58 浮雲の繭とみまがふ小春かな
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