11月の投句一覧
- Junko Mezaki
- 2024年11月23日
- 読了時間: 3分
入選6句
特選1句(コメント付きで) 選句締切 11月25日
1 冬の日の懐にまで波の音
2 蜘蛛の囲をずたずたにして秋行けり
3 それぞれに愁ひはあれど小春坂
4 強張りてひとりぽつちの日向ぼこ
5 冬の日や人に遅れること怖ぢず
6 冬の日が斜めに照らす野原かな
7 暮早き浚渫船が接岸す
8 冬の日やシチュー煮る香の家中に
9 老いたれば冬の日はやし日々はやし
10 冬の日や誰がこの更地棲みゐしか
11 冬の日の富士くつきりと空にあり
12 冬の日や鈍色の川海へ出づ
13 水あれば冬の日水に浮びけり
14 冬の日や棲み古りし家BARとなる
15 気温五度今日から冬の日となりぬ
16 冬の日へ改札口は人を吐く
17 羽繕ふ雀に冬日ふくらみ来
18 木漏れ日を踏みつつ行けば神の留守
19 一羽来て葦のほとりの冬日かな
20 冬の日や妻に遅れて歩きゐる
21 冬の日の足早にゆく犬と人
22 冬の日が一輪挿しに差し込みぬ
23 川底の石に冬の日あたりけり
24 冬の日の軒のあたりを通り過ぐ
25 冬の日をうつらうつらと寺巡る
26 冬の日や校了の字の掠れたる
27 冬の日や飛行機雲の伸びゆけり
28 立冬や菜切包丁研いでをり
29 芭蕉忌の電車の窓に富士見えず
30 栗鼠鳴いて不動の坂のなほ寒し
31 老い進む冬の日さへも持てあます
32 内視鏡終はりし午後や冬もみぢ
33 夕の鴨しぶき光らせ着水す
34 ほつこりな標語うれしき小春かな
35 冬の日のころがつていく町外れ
36 武蔵野は雑木林に冬日差す
37 猫の耳立ちたる午後や漱石忌
38 冬さうび水甕を抱く女神像
39 冬の日の芥子粒となり消え果てぬ
40 途中下車して枯蓮の中にゐる
41 冬の日や窓を開け閉めせず終はる
42 トンネルを出れば紅葉の山の中
43 折りかへす鯛焼きの列冬木立
44 さらされて老女のごとき烏瓜
45 冬の日は家の手前で暮れにけり
46 小春日の鷗飛び入るロケ現場
47 冬の日や猫も飽きずに膝に寝る
48 冬の日に老猫の伸びて寝入りたる
49 冬の日や布団被って過ごしけり
50 冬コートけふの日差しに干しにけり
51 階段を冬の日のぼる田中荘
52 枯芝に立ち一遍のゆかり読む
53 冷や飯で過ごす三食冬日かな
54 冬の日のころころなめる喉の飴
55 戸を出れば冬の日差しのなかにゐる
56 地下街もずんずん分けて大熊手
57 冬の日や老犬にある座り胼胝
58 昼すぎて冬の日はいる家に住み
59 東雲の空に冬の日始まりぬ
60 星の夜へ虚子を帰して柿二つ
61 冬に入る椅子浅く掛け受診待つ
62 鍋の中うどんも餅も絡まりて
63 冬の日の明るく入る奥座敷
64 冷えびえと百階段の月百姿
以上です。
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