5月の兼題 「蟻」
- Junko Mezaki
- 2022年5月29日
- 読了時間: 2分
5月の兼題を西北さんに出していただきました。
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耳元でプーンと聞き覚えのある(耳障りな)音が聞こえると、
ああ、もうこんな季節なんだなーと慌てて殺虫スプレーを取り出します。
兼題を「蚊」にしようかな、とも思いましたが、その時、同時に
「そうそう、そろそろ砂糖壺を冷蔵庫へ仕舞わないと」と思いつきました。
この季節、うっかり砂糖壺に蟻を入れてしまい、往生したことが何度かありました。
西北
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シスターズのひとこと(松子)
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蟻といえば、忘れらない作品がある。柳幸典という人の作品で、
タイトルは忘れてしまったけれど、素材は四畳半ぐらいの大きさの紙と、
確かボールペンだったと覚えている。紙はタペストリーになって壁に貼ってあった。
紙には不思議な線がほぼ一面に、余すところないほど描かれていた。
その作品の主人公は蟻であった。早い話、蟻の足跡を柳さんが這えずりながら
追いかけたものだ。蟻は小さいのでよほど張り付かないと足跡は辿れない。
蟻は柳さんから逃げているわけではない。
自由に囲い(紙には囲いをしてあったそうだ)の中を歩き回っているのだった。
蟻にとっては柳さんは見えないのだと柳さん自身から聞いた。
あまりに大きすぎて認識できないのだそうだ。
大きすぎるものって見えないことってありますよね。と言われて、
あまりの怖さに顎が外れそうになった。
背中がざわざわするとき、私は振り返って後ろを見る。
それから空を見上げて。わかっているわよと言ってみる。 松子
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