7月の投句一覧 (入選6、特選1 コメント付きで)
- Junko Mezaki
- 2022年7月19日
- 読了時間: 2分
1 夜の涼し沖は漁りの灯を浮かべ
2 合歓咲きて微かな風もありがたく
3 草青み人に安らぎ戻り梅雨
4 朝涼やさきほどの夢忘れゆく
5 廃線の決まる支線よ風涼し
6 水打つて打たれぬ土が香を立つる
7 パンひとつ持て余す朝蝉騒ぐ
8 朝涼や戸口を一歩出しとき
9 算数の宿題終えてこそ涼し
10 青柿の童子仏より滑らかに
11 人愛することなく老いてサングラス
12 合歓咲くや惑星の夕午後の風
13 大蟻が先客にいて山の宿
14 夕涼や夜勤と代わる溶鉱炉
15 時といふひとすじの川星涼し
16 青柿の雨を弾きて鴎外忌
17 夕闇に溺れて啼くか烏の子
18 河童忌や強きが勝る憂き世あり
19 割るまでは卵の形朝涼し
20 白髭の滝の滝音聞き取れず
21 夕風や今日一日で切り上げる
22 菜園に水遣る夕べ風涼し
23 生ビール病気自慢はそこまでに
24 父と子の甚平戦さなき国に
25 僚船も大漁旗揚げ浦涼し
26 「氷点」のゆかりの径をはたた神
27 蟬時雨腕にいつまで注射痕
28 部活女子氷店をほぼ独占す
29 涼しさや女童(めわらべ)手足また伸びる
30 我に返れば睡蓮のほとりかな
31 カラコロと下駄の音遠く夜涼し
32 弟に負けて泣く姉天瓜粉
33 JKの声さやさやと夏氷
34 戻り梅雨入歯歯茎のナマな色
35 七月の街の外れにたどり着く
36 付け台涼し隣の肥満客が去り
37 ジェット機の一気に離陸夏の空
38 油照りバイクきします配達夫
39 航涼し東京に職望まざる
40 涼しかり梅雨はあけたと嘘ばかり
41 風鈴の鳴れば夕空澄みわたる
42 からころと下駄の通り過ぎ夕涼し
43 夏帽子被りなほしてリフト乗る
44 涼しさや給食調理の火を落とし
45 耳鳴や左の耳に蝉住める
46 白河の関を越えれば田の涼し
47 大楠の木蔭を飛べば蝶涼し
48 茅の輪くぐり異世界へゆく心地かな
49 白桃の冷蔵庫にはまだ入れず
50 ホップの香座敷童子の棲む家に
51 涼しさは泉の底の砂動く
52 海の日に沖に現る貨物船
53 涼気来るひと日で済まぬ網繕い
54 涼しさや山葵田に聞く水の音
55 青田から峠へ向かふ塩の道
56 物置に太宰の本の黴拭う
57 天道虫坂上りきり海の見ゆ
58 日盛りの蝶の入りゆく木下径
59 宿涼しどの窓からも八ヶ岳
60 高床の家が欲しいねまた出水
61 十勝岳噴かずメロンの罅撫づる
62 梔子や浮ひた話も無く老いる
63 涼といふ字を七つ書き団扇置く
64 横顔涼し束ねる髪のシュシュもまた
65 方円の器に満ちて水涼し
66 選挙カー来ぬ朝となる涼しさよ
67 炎天や茹だって目高沈みをり
以上です。
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